2016年シーズンを3位で終え、2年連続Aクラスと伊東監督になってから上位に食い込めるようになった千葉ロッテマリーンズ。
しかし、伊東監督も「屈辱的なAクラス」と表現したようにとても満足いく成績ではなかった。
シーズンを通して感じたのが選手層の薄さ。
特に野手陣である。安定した成績を残せたのは、首位打者の角中勝也、主砲のデスパイネ、キャプテンの鈴木大地、キャッチャーの田村龍弘ぐらいだろう。
彼ら4人のポジション以外、ファースト、セカンド、サード、センター、ライトは選手を固定できない。
昨季3割打った清田育宏も今シーズンは開幕から不調が続きレギュラー固定とはならなかったのも誤算ではあるが、伊東監督も期待してたであろう中村奨悟や井上晴哉、加藤翔平といったところがなかなか期待に応える成績を出すことができなかった。
しかも彼らを脅かす存在になる選手も現れなかったのが伊東監督も悩んだことだろう。
そして私が一番感じたのが、長距離打者の少なさである。チーム内で長距離打者と呼べるのはデスパイネ、ナバーロぐらいだろう。
相手からしても脅威である長距離打者の補強は全力を尽くして行うべきである。しかも、ナバーロは退団しデスパイネも去就が怪しいとなると長距離打者はいなくなってしまう。
獲得発表のあったマットダフィーには期待しているが、デスパイネの残留+外国人打者の獲得で打線に3人外国人打者を並べるのが今のマリーンズには必要ではないだろうか。
それほど他球団との打線の差を感じた今シーズンであった。だが、魅力的な若手がいるのも忘れてはいけない。
昨年のドラフト会議で1位指名した平沢大河は一軍での出場もあったようにかなり期待されているし、香月一也、脇本直人、肘井竜蔵は2軍で徐々に成績を上げてきている。
彼らが一軍でスタメンを張れるようになれば外国人の補強も少なくて済むだろう。
平均的に悪くはない投手陣だが、優勝を狙うには手薄感が否めない。
一方投手陣だが、こちらも選手層が厚いとは言えない。
最優秀防御率の石川歩、昨季最多勝の涌井秀章の先発二枚は強烈だが、それに次ぐ投手がやや手薄だ。
しかし、来年に期待ができることも確かだ。実績十分のスタンリッジにシーズン終盤復活しつつあった唐川侑己、前半戦好投した二木康太、関谷亮太。
さらに来年先発再転向が決まった西野勇士、期待のルーキー佐々木千隼、酒居知史らの活躍があれば一気に先発陣が強化される。
西野か抜けるリリーフ陣も守護神候補の益田直也、セットアッパーの内竜也、今年大活躍の南昌輝が勝利の方程式の3人。その他にも大谷智久、松永昂大、藤岡貴裕、田中靖洋らが控えている。
前半戦好調だったのはこのリリーフ陣の踏ん張りがあってこそだ。
しかし、王者日本ハムや2位のソフトバンクと比べると投手陣も野手陣も戦力の差を感じてしまう。
若手の成長、選手層の底上げが今すぐに可能ならそれが一番だが、ゲームのように上手くいくわけない。成長途中の選手が一人前になるまで外国人選手の補強も大事なのではないだろうか。
特に打線の強化は急務であると私は感じている。
(井上誠二)