惜しくも21世紀枠選出ならず。静岡の古豪、韮山高校って?

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韮山高校、かなり高校野球に詳しいファンでなければ、その名にピンと来る人は少ないでしょう。
伊豆半島の中央部伊豆の国市にある県立高校です。

来月19日に開幕する第89回選抜高校野球大会の21世紀枠選考では、昨年11月に静岡県高野連から韮山高校が推薦されました。しかし、12月東海地区の推薦校選考で落選し、最終選考までたどり着くことはできませんでした。

韮山は、過去二度甲子園に出場しています。最初は1950年第22回選抜大会に出場、初出場ながら優勝を遂げました。1回戦は5-1で兵庫工業に勝ち、準々決勝福岡・八幡に6-5でサヨナラ勝ちすると勢いに乗ります。準決勝は大阪・北野に7-3、決勝では高知商業に4-1で勝ち、偉業を達成しました。優勝投手の東泉東二は、後にプロ野球東急フライヤーズ(現北海道日本ハムファイターズ)に入団します。

二回目は1995年第77回選手権大会です。静岡大会では、決勝で興誠(現浜松学院)に14-2と圧勝して夏の甲子園初出場を決めました。この後興誠には現在タレントの野久保直樹が入学し、中心選手として活躍します。

45年ぶりの甲子園ということで、卒業生や地元の人たちは大いに盛り上がりました。1873年創立で旧制中学時代からの伝統校だけあって、卒業生の数が非常に多い学校です。地元の人たちを加えて大応援団が甲子園に詰め掛け、全ての試合バックネット裏から外野のポール際までぎっしり埋まりました。

甲子園の1回戦は和歌山代表の田辺に12-2で圧勝しました。大応援団の大声援の効果もあったとは思いますが、静岡大会の勢いを継続していました。
2回戦は、好投手鈴木功を擁する埼玉代表の越谷西でした。勢いの衰えない韮山打線は鈴木を打ち崩し、6-1で快勝。主将の飯田充喜が大会第8号となるホームランをライトポール際に打ち込んでいます。

3回戦の対戦相手は、秋田代表の金足農業でした。金足農業は豊富な練習量で秋田代表を勝ち取ったチームでした。一方韮山はグラウンドに照明設備はなく、また進学校ということで日暮れとともに練習は終了。好対照なカラーのチームの対戦でした。
序盤から金足農業ペースで、韮山は今大会初めて追う展開となりました。これだけ練習してきたのだから絶対に負けたくないという金足農業の意地を見ました。8回表を終わって1-7と大きくリードを許し、やはり練習量の違いが出たかと思われました。

しかし8回裏、ここまで勝ち進んできた韮山の勢いが一気に噴出します。
ノーアウト満塁からエース平井渉が、起死回生の走者一掃二塁打を放ち、後続打者の2本のタイムリーヒットも合わせてこの回5点を上げます。ついに6-7と1点差にまで詰め寄りました。

金足農業の島崎監督はこの韮山の勢いに、「練習方法を見直さなければならないかもしれないと考えるまで追い詰められた」と試合後に談話を残しています。
しかし、試合巧者の金足農業は9回表にすかさず1点を追加し、韮山に傾いた流れを引き戻します。
快進撃もここまで、このまま6-8で韮山は敗れ去りました。

打線が目立ったこの時の韮山でしたが、エース平井の投球も光っていました。球速はさほど速くはないものの、丁寧にアウトコース低めにコントロールし、特にスライダーが効果的でした。
平井、飯田、三塁手の山田健之はその後慶應義塾大学に、捕手の長倉靖明は法政大学にそれぞれ進学して野球を続けました。

この活躍を機に、長い間鳴りを潜めていた韮山が活性化します。
2005年夏の静岡大会ベスト8、2008年には春季県大会でベスト4に入って夏はシード校、2011年夏の静岡大会ベスト4、2012年夏の静岡大会ベスト16でした。
少し長めの周期ではありますが、45年ぶりに比べればだいぶ短いものですし、入学環境を考えれば致し方のないところです。
静岡高校のように学校裁量枠で一定人数有望な選手が入学する高校もありますが、韮山は野球などスポーツにおける学校裁量枠がありません。

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現在のチーム

さて、今のチームについてです。
2016年は創部120周年を迎えるため、一段と力の入った年となりました。
新チーム結成後、秋季東部地区大会は2回戦から登場して甲子園出場経験のある強豪御殿場西を3-0、3回戦これも甲子園出場経験のある富士宮西を5-4、準々決勝で最近力をつけてきている三島南を9-2で降しています。決勝ではこれも甲子園出場経験のある桐陽に1-3で敗れてしまいましたが、3位決定戦では強豪飛龍に6-4で勝って東部地区3位の座を手にしました。
県大会は2回戦から登場して静岡学園と対戦、惜しくも0-1で敗れベスト16どまりとなってしまいました。それまで好調だった打線が沈黙し、エース橋本雄樹の好投に報いることができませんでした。

エース橋本は技巧派左腕です。過去にも慶應から日本石油へ進んだ井深有、前述の平井など韮山は技巧派の好投手を輩出しています。
攻撃は、機動力を絡めてそつなく得点するのが特徴です。

前回甲子園に出場した1995年から22年が経ちました。
今回のセンバツの21世紀枠候補としては、県大会ベスト16どまりだったというのが押しの弱かった点です。静岡高校が東海チャンピオンとなって選出されていますので、地域性を考えると東海大会出場、すなわち県3位以上でなければ、21世紀枠での選出は難しかったと思います。

3月23日から春季東部地区大会が始まります。
韮山は、2回戦から登場し、3月26日に富士対御殿場南の勝者と対戦します。最低でも2回勝ってベスト8に入り、県大会へ出場することが望まれます。
できれば県大会でベスト8に入って、夏の静岡大会のシードを取りたいところです。シードが取れれば、大会の序盤に地元あしたか球場で試合することができます。多くの在校生の応援は勿論、熱心なファンも多いので、そのメリットを活かせるよう御膳立てが必要です。
また公式戦での経験は非常に貴重なものなので、一つでも多くの公式戦を経験することが夏の大会で好成績を残すことにつながると思います。

前回は45年ぶりで甲子園出場。
昨今の活況からすると、その半分のペースでまた巡ってきても不思議ではありません。
そろそろありそうな気がします。

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