※巨人に6位指名されました!
2016年ドラフト指名候補大江竜聖。今夏の甲子園で競演した常総学院・鈴木昭汰、木更津総合・早川隆久、花咲徳栄・高橋昴也と共に関東屈指の左腕として知られていたのが二松学舎大付の大江竜聖。1年夏の甲子園デビュー以後、同校の絶対的エースとして活躍し、プロも注目する彼の魅力や特徴をまとめました。
【簡単なプロフィール】
名前:大江 竜聖
出身:神奈川県座間市
生年月日:1999年1月15日生まれ
身長体重:171cm75kg
守備位置:投手(左投げ左打ち)
在籍高校:二松学舎大付
【経歴】
小学校から軟式野球を始め、座間南中では横浜ヤング侍に所属。金澤大地、浅見遼太郎(ともに横浜隼人)らと共に腕を磨きました。
高校は先輩を慕い、東京の二松学舎大付に進学。早速ベンチ入りし、高校初めての夏は背番号18ながら東東京大会で4試合にリリーフ登板、1失点のみと活躍。4回戦の東海大高輪台戦では勝ち越しの一打を放ち試合を決め、決勝の帝京戦ではロングリリーフで試合の流れを変えて延長の末の勝利に導きました。決勝進出は前年含め、それまで幾度もあった中で、同校初の優勝の原動力が大江と今村大輝の1年生バッテリーであったことは大きな話題となりました。
同校初・自身初の甲子園では、初戦の海星戦で怒涛の反撃により2点差まで迫られ、なおも満塁という場面で初登板。押し出しの死球を与えるも、その後は凌ぎ切ってチームの勝利に貢献。次戦で沖縄尚学にサヨナラを許し敗戦投手となりましたが、この大会での1年生らしからぬ度胸満点の投球で、全国でもその名が知られるようになりました。
エースとして臨んだ秋は順当に都大会へ進むと、3回戦の早大学院戦で延長15回完封、準決勝の関東一戦で延長11回完投など実にタフな投げっぷりでチームを牽引し、決勝進出。関東一との激闘の翌日に行われた東海大菅生との決勝戦でも好投を見せますが、終盤に伊藤壮汰・本橋実生という自身と同じ1年生コンビに同点・逆転打を許し敗北。
準Vという成績を残したものの選考は微妙とされていましたが、センバツ出場が決定。翌春の同大会では当然注目選手の一人に数えられましたが、初戦で82年ぶり出場の松山東に5失点を喫し敗退。140キロ前後の速球とスライダーを武器に16奪三振を奪うなど力は見せましたが、勝負所で踏ん張ることが出来ませんでした。
センバツ帰りの春季大会でも準々決勝・日大三高戦で満塁弾含め4本のホームランを浴びるなど9失点で8回コールド負け。
悔しい春を経た2年夏は初戦を被安打1、毎回奪三振での8回完封というスタートを飾ります。しかし、次戦の堀越戦でリリーフするも中盤以降、勢いづく堀越打線を止められず失点を重ねて逆転負け。2年連続の夏、3季連続の甲子園出場はなりませんでした。
最上級生という立場となった2年秋、秋季都大会の初戦で早実を相手に1失点完投、延長の末に勝利。自身と同じく1年生ながら夏の甲子園を湧かせた注目打者・清宮幸太郎には2安打を許すも、9回には意地の三振を奪って見せました。
次戦では春にコールド負けを喫した日大三高と対戦。早実に続き強力打線を1点に抑え、女房役の今村の2ホーマーもあり勝利。リベンジを果たします。
準々決勝・準決勝にも先発し好投、迎えた決勝で関東一に終盤の8・9回に試合をひっくり返されての逆転負けを喫し敗退。この試合で自己最速の148キロをマークするなど、大会を通じて更なる進化を見せたものの、最後まで勝ち切れなかったことに対し涙を流した秋となりました。
センバツ出場も逃し、翌春の春季大会も本調子とは言えない出来ながら都大会準決勝へ駒を進め、東海大菅生相手に完投勝利。決勝では登板が無く、関東一に秋に続き敗れるも、同校23年ぶりの関東大会出場を決めます。
関東大会1回戦で前橋工を相手に1失点完投、前回出場時以来の同校勝利に導きます。翌日の2回戦では登板が無くチームも敗退しますが、夏に繋がる大会となりました。
そして迎えた最後の夏、徹底した走り込みの効果で球威・スタミナともにレベルアップした姿を見せ、準々決勝までの4試合をいずれも先発完投。5回戦の小山台戦では被安打1、6者連続を含む16奪三振という圧巻の投球を披露しました。
準決勝では制球に苦しんで再三ピンチを招くと、味方のエラーも重なるなど東亜学園に5回にビッグイニングを作られ、6回途中7失点で降板。その後、自身の本塁打から1点差まで追い上げるも届かず敗退。1年生から注目され続けてきた大江も、その1年生以来の夏の甲子園出場は叶いませんでした。
【特徴や魅力】
小柄ですが、力強い140キロ台の速球で押していける投手です。スピードの割に打たれるという「質」の面が課題という声も少なくなかったのですが、鍛え上げられた下半身を軸に、140キロ台中盤~後半も幾度もマークして見せた今夏のボールの威力は間違いなくこれまでとは別物でした。
また、決して「エイヤー」とアバウトで単調な投球をするのではなく、相手を見ながら強弱をつけたり、フォームや変化球でタイミングを外しにいったりと女房役の今村とともに実戦経験を積む中で非常にクレバーな面も身につけています。
まとめ・将来性について
進化を遂げた今夏は、もし甲子園出場を果たしていれば、好左腕が出揃った大会の中でも負けない魅力を放ったのではないでしょうか。
また早くから注目され、相手からはマークされてきた中で苦しんだ時期もありましたが着実に進化してきたという点も見逃せません。
結果として奪三振が多い投手ですが、決して無理に狙いに行っている訳ではなく本質的には打者を押し込んで球威で打ち取っていくタイプの投手かもしれません。まだ制球を乱す場面も見られますが、基本的には纏まっていますし変化球の投げ分けも安定、高校生としては高いレベルにあります。短いイニングで圧倒するような投球も可能かもしれませんが、将来的にはスピードよりも球威のあるボール・変化球をしっかり両サイドに投げ分けて打ち取っていくタイプとしての活躍が見込まれるのではないでしょうか。そういったスタイルで今季活躍している小柄なプロ左腕ということで言えば、田口麗斗(巨人)がいます。
今夏の甲子園で華々しい活躍を見せたエース達よりも、早く・かつ長い目で活躍ができる投手になれる可能性も秘めているであろう大江、既にプロ志望届を提出しており運命の日を待ちます。